マーラー 交響曲第2番 復活 キャプラン指揮ウィーン フィル 輸入盤
*HMV レビューあらゆる細部が濃密に雄弁に立ち現れる驚異的な演奏!『復活』を知り尽くした男、キャプランがマーラーゆかりのウィーン・フィルを得て描く究極の世界!来日公演も話題になった『復活』の専門家、キャプラン氏がウィーン・フィルを指揮した再録音は、全曲を貫くアーチのような線の太い流れが確保されていながらも、とにかく細部表現が生きている点が特徴。 第1楽章では、重要な役割を果たすコントラバス・パートの豊かな表情が実に印象的で、第2主題部でもその存在感は絶大です。 第2楽章では力強くうねる弦楽器、強力なピツィカートが作品本来の肯定的精神をよく伝えており、脆弱な感じがまったくしないのが嬉しいところ。 第3楽章ではリズミカルな動機の扱いが見事で、各パートの出入り・バランスもさすが。 管楽器、特にトランペットの妙技も聴きものです。 第4楽章では、ドイツのメゾ・ソプラノ、ナージャ・ミヒャエルが深みのある声に美しいヴィブラートを効かせ、感動に満ちた歌唱を聴かせて絶品。 ウィーン・フィルの美しさも信じがたい水準に達しています。 巨大な第5楽章はキャプランが本領発揮する部分で、そこに込められた熱いメッセージ、どこまでも高く登ってゆく高揚感の凄みはやはりエキスパートならではのもの。 ムジークフェラインが鳴り切った、まさに圧倒的な演奏です。 全体に、ロンドン響との録音に較べてテンポが平均で3%ほど遅くなっており、そのぶん細部の彫琢が徹底しているのがポイント。 とにかくオーケストラがうまく、表情の豊かさ、表現の確信に満ちた強さは、旧盤とはまったく異なるレヴェルに達しているとみることが可能です。 ムジークフェラインザールの音響をよく生かした優秀録音も特筆されるところで、迫力ある重低音から艶ののった高域まで、色彩豊かで立体感に富むサウンドがたまらなく魅力的です。 キャプラン校訂による国際マーラー協会クリティカル・エディションの世界初録音!来日公演も話題になったギルバート・キャプラン氏[1942 - アメリカ]は、おそらく世界で最も有名なマーラー・フリーク。 27歳で財を成した実業家・投資家(経済誌出版社の社長)であるキャプラン氏は、あるとき、ストコフスキーがアメリカ交響楽団を指揮する『復活』のリハーサルを見学して衝撃を受け、自分で『復活』の指揮をするという夢を持つようになります。 その夢は後に大きく育まれ、ついには『復活』専門の指揮者・研究者として世界から認められることになるのですが、そのサクセス・ストーリーもまた破格でありました。 まず、18ヶ月間に渡って指揮法を学び、続いてオーケストラとコーラス、ソリストを雇ってエイヴァリ・フィッシャー・ホールでコンサートを開催、さらにはショルティなどにも師事して研鑽を積み、ついには演奏旅行までおこなって話題を呼ぶようになります。 やがてレコード会社からメジャー・オケを指揮したCDまでリリース、さらにそのCDが各国でベストセラーとなって様々な賞を受けるなど、「キャプランといえば『復活』」、「『復活』といえばキャプラン」という風評も自然に広まっていったものでした。 なにしろそのロンドン交響楽団を指揮したCD(1987年録音、廃盤)は、世界で17万5000枚も売れたといいますから、マーラー・レコーディング史上、実は最も数多く売れたアルバムということになるわけで、実際、英国のクラシック・チャートには発売後2年も名を連ねていましたし、また、ニューヨーク・タイムズやドイツのZDFからはその年のベストCDのひとつに選ばれるなど、評価の高さにもかなりのものがあったのです。 しかも彼が凄いのは、演奏活動と並行しておこなっていた研究活動の方も着々と成果が上がっているということでしょう。 といってもそれは、いわば『復活』のエキスパートとしての数多い指揮活動の副産物のようなものだったのですが . . . 。 具体的には、彼が世界各国のオーケストラを指揮して『復活』を演奏する際に、どのオケでも必ず持ち上がる問題が、楽員の使っているパート譜と、指揮者の使うスコアのあいだに一致しない部分が多々あるということでした。 そこで考えたのが、自身による校訂譜の作成ということで、そのための準備段階として、まずマーラーの自筆譜を購入して刊行、さらに音楽学者のレナーテ・シュタルク=フォイトの協力を得て、出版譜との差異を細かく検証・分析し、400に及ぶエラーや疑問箇所を抽出、自ら校訂をおこなって出版し、成果を世に問うというもの。 なお、このキャプラン&シュタルク=フォイトによる校訂譜は、国際マーラー協会も承認済みで、2005年にウニフェアザール(ユニヴァーサル)からクリティカル・エディションとして出版される予定です。 今回のウィーン・フィルとのレコーディングも、その校訂譜作成のためにおこなっていた資料収集の過程で、照会先のひとつであったウィーン・フィルから逆にその校訂譜についての問い合わせがあり、実物を目にして感銘を受けたウィーン・フィルの副団長で首席クラリネット奏者、ペーター・シュミードル氏の尽力によって実現の運びとなったといいますから、世の中何が起こるかわかりません。 マーラー:交響曲第2番 ハ短調 『復活』(ギルバート・キャプラン校訂版 / 世界初録音)ラトーニア・ムーア(S)ナージャ・ミヒャエル(Ms)ウィーン楽友協会合唱団(合唱指揮:ヨハネス・プリンツ)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団指揮:ギルバート・キャプラン録音:2002年12月、ウィーン、ムジークフェラインザール
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